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アルプス旅行 No.3 

すっかり順序が逆になってしまいましたが、ちょっと過去に戻ってタイムスリップ!

今日は再び、夏休みの「北アルプスでのバカンス報告」の話の続きに戻らさせて頂きます。。。

今回の話は、このバカンスで、私が最も楽しみにしていたメイン行事、「鉱山見学」です!

この見学も、先日お話した「TourCard」で入場できました。

実は今回の見学、私たち家族、「三位一体」ではありませんが、「私・夫アンジョロ・愛犬カミッロ」、もはやいつも一緒。
無論、この見学も事前に犬同伴も可能かどうか聞いてみたところ、「ちょっと難しいけど、小型犬で可能だと思うのならどうぞ」と言われました。
と言うわけで、カミッロも参加。

この「鉱山博物館」、もともと使われていた鉱山を、丸ごと体験させてくれる、まさに「鉱員」となって、見て、触って、感じての、「生きた体験館」。
約1000年間にわたって活動したこの鉱山は、ヨーロッパで一番高い標高に位置する鉱山として有名でした。
長い長い歴史を経て、鉱山の歴史に幕を下ろしたのが1985年。
その後、博物館とし再び息を吹き返したこの鉱山。見学中には、かつて使っていた沢山の機械を、様々な作業の工程で作動させます。
機械の爆音、ほこり、臭いを体中で感じる私たち。

かつての鉱員が、どれだけ過酷な環境の中、働いてきたのか・・・・そのことに、胸に痛みすら感じます。

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見学には4コースありますが、今回私たちが参加したのは、「冒険コース」と言うもので、総計7時間に及ぶコースでした。

午前中は「コンパクト・コース」と言うので、大きく歴史や、機械、坑内の説明・見学をしました。

短い坑道に、渡された防寒着とヘルメットをかぶって入ります。
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ここでは蝋人形でも当時の模様を再現。
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これは石の粉砕機と選別機の説明です。
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このコースだけでも、かなり鉱山の雰囲気を味わう事ができます。
また、このコースは、車椅子の方も参加する事ができるよう設備されています。

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お昼休みを経て、午後はとうとう鉱山の奥での体験です。

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ここでは、さらに重装備となり、長靴に、防寒ジャケット、ライトつきのヘルメットが支給され、かなり本格ムード。
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そこから大型バスに揺られ、狭く、急な山道をバスで登る登る。。。

「恐い・・・・・。。。」

下に見える谷、「バスに揺られ・・・・」って言う言い回しではなく、まさに「バスが揺れている」ので、落ちやしないかとちょっぴりヒヤヒヤ、、、。
ぐんぐん山道を上がり、標高2000メートルの所でバスを降り立つと、すっかり低気温に。

そこから、使い古した錆の入ったトロッコ列車に乗車。坑内3.5キロの道のりを20分かけて走りました。
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このトロッコ列車、かつての鉱員が使っていたものそのもので、鉄板でできた、まさに労働員を運んでいたと言う汗と歴史を感じるもの。

この真っ暗闇で足元も、体も、スキスキに空いている“スースー”トロッコ列車で、真っ暗闇を走る走る。。。
カミッロが足を踏み出そうものなら「イチコロ」。。。。と言うわけで、私とアンジョロは緊張しながら、カミッロをがっしり抱擁。。。(汗)
カミッロも危険がわかるのか、すごく神妙な感じでした。。


長い長い20分を経て、到着後即徒歩で再出発!
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寒くて暗い鉱山内。しかも迷路。とってもじゃないが一人じゃ恐くて歩けないような過酷な環境です。
日本なら、こんな危険な環境、何度も点呼でもとりそうな感じがするのですが、ここはイタリア、「自己責任」と言う感じで、人数確認などは一度も行われませんでした。。。。(怖っ+_+;)
カミッロも、「何で僕こんな所に・・・・・。」と言う感じで、かなり緊張気味。
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時にはぬかるみ、時には水溜りで、カミッロを抱きながら前進。
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298段の階段を登ったり、直角90度のハシゴ階段を降りたり、まさにアドベンチャー。




年間を通して、坑内は気温8度の寒さに加え、湿度100%。埃にまみれ、爆音の元、暗闇の中で、時には腹ばいになって、この中で何ヶ月も毎日8時間労働したかつての鉱員。そんな労働環境にも拘らず、彼らは彼らの仕事を愛し、誇りを持っていたそうです。




時には、大量の水が行き場を見つけられず行動を流れていて、ふくらはぎぐらいある水をかき分けて歩いた箇所もありました。
水温4℃。全身に寒さが沁みる環境です。

何でもこの坑道の一部の、1600メートルの長さの部分、当初の計画では35年かけてこの坑道を開通させる予定が、85年もかかってしまったそうです。

1600年代の話。

気の遠くなるような現実の話でした。




ここの鉱山の主成分は、銀と亜鉛と鉛でした。
途中でノミとカナヅチを渡され、採掘体験。
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みんなでカンカンやってみましたが、びくともしない鉱山。。。
強い力で叩くことより、小さい叩きを何度もする事が大切だそうです。



それから、みんなのヘルメットの明かりを全部で消したりもしました。

。。。するとまさに「一寸先は闇」。。。



そのあと、「炭化カルシウムと水」で火をおこしました。

鉱員に欠かせなかった火。

その火は、ランプの火が消えてしまったりした時などの、緊急時に入手するために使ったそうです。
この炭化カルシウムに水をかけると、アセチレンと言う、非常に可燃性の高いガスが起きます。
このガス、発生と同時にすぐに火が点きました。

水と火って、正反対のものと思っていましたが、今回の「火」は、「水によっておこされる火」でした。

真っ赤な炎が真っ暗な坑道を鮮やかに浮かび上がらせます。
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炎を見守るカミッロ。
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こうして貴重な体験を終え、再びトロッコ列車に乗車。そして下山しました。




今回の体験、イタリア人たちは「かつての人の過酷な生活に言葉がない・・・・」と、この苛酷な環境で働いた人たちの人生にショックを受けていました。
でも、そんな環境に身をおかせてもらったことで、「生きる」と言う事の意味を、再考する一日となったと思います。



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この土地、鉱山の他にも、もうひとつの事でも有名でした。

それはこの方。

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この女性、1879年に生まれたマリアさんという方。
最初、博物館で模型を見かけた時は、「こんなふざけたもの作って・・・。」と一瞬思ったのですが、よく見てみるとビックリ。
本当に存在した女性の実物模型だったのでした。
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小さな両親の元、極貧の家庭に生まれたこのマリアさん。
身長217cm(240cmという説もありますが?!)、体重170kgに成長した、1900年代で一番の巨大女性だったそうです。
人の良さそうなこのマリアさん、家計を助けるためにヨーロッパ中見世物巡業で周リ、37歳でその生涯を閉じました。
ちょっと話を聞いてつらくなってしまいました。。。

様々な人たちの人生と歴史と感じた、貴重な一日でした♪  
by tokogiappone | 2008-08-22 01:05 | イタリアあちこち
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